京都オーシャンロード実行委員会には、丹後半島それぞれのエリアで活躍する、さまざまな事業者が顔を揃えています。この記事では、秋季の実証実験に参加したコンテンツホルダーを中心に、実行委員会の参加団体とそのフィールドをご紹介します。

【京都オーシャンロード実行委員会】
- 楽夕会
- 丹後王国
- 小天橋観光協会
- 龍宮プロジェクト
- 五箇プロジェクト
- 宇川温泉よし野の里
- 京都海道
- ブルードラゴン*
- WILLER TRAINS*
- 丹後海陸交通*
- 海の京都DMO*
*体験コース・企画を持たない事業者・団体

楽夕会(京丹後市・夕日ヶ浦温泉エリア)

京丹後市の日本海側に位置する、夕日ヶ浦温泉エリアを拠点とする団体。
夕日ヶ浦温泉峡は、丹後半島で最大の宿泊キャパシティを備えるエリアで、最寄りは丹鉄・夕日ヶ浦木津温泉駅。総延長8kmにもわたる砂浜が拡がり、夏場は海水浴客で賑わい、冬場は名物のカニを目当てに訪れる湯治客で賑わっています。
楽夕会の構成メンバーには旅館オーナーが多く、そのほか日帰り温泉施設、SAPなど海のアクティビティ事業者、運送業者などが参加しています。
課題は、春秋の入れ込み客数の伸び悩み。そのため、昨年からいち早くサイクリングの可能性に着目していました。私たちCLLとのWS後、自主的にサイクルラックを製作。エリア内の宿泊施設を中心に設置し、サイクリストの利便性向上を目指しています。
2019年度の秋季のテストコースでは、「フルーツライド」と称した1泊2日プランを用意。果実園が並ぶフルーツライン(国道178号線)沿いを通り、途中フルーツを味わいながら夕日ヶ浦温泉に向かうと、温泉・海鮮自慢の宿にチェックイン。ゴール後は、夕日を眺めながらの温泉と海の幸を味わえる贅沢な体験です。
丹後王国(京丹後市弥栄町エリア)
西日本最大級の敷地面積を誇る道の駅。「食のみやこ」の愛称どおり、地元の食を楽しめる施設が並ぶほか、ホテルも完備。広大な敷地内ではアトラクションなどで遊べるほか、さまざまなフェアやイベントも開催されています。
2019年度の秋季のテストコースでは、全国の道の駅グルメ日本一を決めるイベント「道-1グランプリ」と並行してライドツアーを企画しました。
小天橋観光協会(京丹後市久美浜町エリア)
もうひとつの天橋立と呼ばれる「小天橋」は、海水浴場や天然温泉など観光資源に恵まれたエリア。さらなる魅力を掘り起こす体験として、サイクリングの可能性に注目した観光協会のみなさんが実行委員会に加わっています。
秋季に検証した体験コースは、その名も「神の箱庭ライド」。パワースポットや地域の歴史を学べる施設を巡るほか、名物ランチやソフトクリームなど食のコンテンツも豊富な、久美浜の魅力が詰まった日帰りコースです。
龍宮プロジェクト(京丹後市丹後町エリア)
漁業や農業、ちりめん・着物などの伝統産業など、さまざまな産業が息づく丹後町エリア。龍宮プロジェクトは、地域の自然や産業・文化の豊かさを数々の魅力的な体験プログラムに落とし込み、旅行者に提供しています。
漁体験、山遊びなどに続く新たな体験としてEバイクに着目している龍宮プロジェクト。秋の検証では、歴史の専門家と巡る地域ガイドを楽しめる宿泊付きプランを用意しました。

五箇プロジェクト(京丹後市峰山町エリア)
峰山町の市街地から少し外れた中山間地域にある五箇エリア。年々賑わいが失われつつある地域を活性化しようと活動しているのが「五箇プロジェクト」です。
比沼麻奈為神社、天女の里など古来に起源を持ち、とくに日本の食文化にゆかりのある名所・旧跡・施設が多いこのエリア。地域の資源をうまくつなぎ、関係人口を無理なく増やしていくためのコンテンツとして、自転車によるエコツーリズムに可能性を見出しています。

なかでも自転車を活用した里山ガイドツアーは、地域に暮らす人々や自然環境を訪ね、日常の暮らしや営みに触れることで、地域の文化をより身近に知ることができるコンテンツ。日本では飛騨古川などで先行するモデルがあり、インバウンドを中心に高い評価を受けています。五箇プロジェクトでは、2019年4月〜5月にかけて地域向けのサイクリング体験会を開催。いち早くコンテンツ開発に取り組むとともに、地域での理解促進やユーザー受け入れの機運を醸成しつつあります。
秋の体験コースでは、サイクリングのみならずトレッキング(登山)も取り入れたアクティビティとして企画を設計しました。当日はインバウンドのユーザーもツアーを体験したそうです。


宇川温泉よし野の里(京丹後市丹後町エリア)
海岸線にほど近い、国道沿いの小高い丘の上に位置する日帰り温泉を兼ねた宿泊施設。夏場は海水浴客やキャンプユーザーで賑わい、1年中美しい景観を眺められます。今年からサイクルラックを設置したほか、宿泊棟には部屋に自転車を持ち込めることから、丹後半島を周遊するサイクリストの利用者も少しずつ増えつつあるようです。
宇川温泉では、秋季の検証で特定のコースは設定せず、9~11月の検証期間中、Eバイクを貸し出すレンタルプランを用意しました。
京都海道(伊根町エリア)
伊根町地域おこし協力隊の増田一樹さんが、伊根町観光協会に勤める傍らすでに自身の事業として取り組んでいるのが、旅行者向けEバイクツアーです。舟屋で有名な伊根浦をめぐるツアーを中心に、2019年3月からさまざまなガイドプランを旅行客に提供しています。
自らEバイクを調達し、コンテンツの充実を図り、販路を拡げつつある増田さん。京都オーシャンロード実行委員会でも、それぞれの体験のサポートや、活動全体の情報発信など、多岐にわたる活動をリードしています(たとえば、実行委員会のWebサイトも増田さんが立ち上げてくれました)。
そんな増田さんが秋の体験プランで企画したのが2つのツアー。1つは先述の伊根浦をめぐるガイドツアー。そして、もう1つは「浜売り」を体験できる朝ライドです。「浜売り」とは漁港で水揚げ直後の魚を買える京都北部独特の文化。これを体験し、古民家に移動したあと調理体験ができるユニークなプランです。
今後は、経ヶ岬を超えた丹後町エリア(宇川温泉よし野の里)や、丹後半島の玄関口である宮津エリアの宿泊施設(橋立ベイホテル)とも連携しながら、さらにユーザーのEバイク体験の機会を増やし、可能性を模索していきたいそうです。
実行委員会のみなさんと対話してみませんか?

今回ご紹介したのは、2019年秋季の体験プランでコースを企画した7団体でした。京都オーシャンロード実行委員会には、コンテンツホルダーばかりではなく、丹後地域の観光の窓口となる「海の京都DMO」や、鉄道・バスなど地域公共交通を担う「WILLER TRAINS」「丹後海陸交通」、丹後のサイクリングチーム「ブルードラゴン」も名前を連ねています。
個別によるコンテンツ提供という枠を超えて取り組みがつながっていくと、ますますサイクル・リビングラボの可能性が拡がっていきます。どんなテーマやプロジェクトに発展していくのか、今後がとても楽しみです。
なお、2020年1月22日には、地域向け報告会イベントが予定されています。前日21日からは、上記の団体を訪ねるフィールドワークも実施予定です。京都オーシャンロード実行委員会と対話をしてみたい企業の方、具体的な課題や地域との連携可能性に意欲的な企業の方はぜひご参加ください!
(文責:白井 洸祐)